京大職場フォーラム2005 木谷理事の来賓ご挨拶

1.はじめのあいさつ
 おはようございます。ご紹介いただきました、この十月に京都大学理事に就任しました木谷と申します。今日は「京大職場フォーラム2005−京大の未来を考える」ということで、未来志向のフォーラムを開催されたことをすばらしいことだと思いますし、その場にお招きいただいたことをありがたく思っています。

 今、お話ありましたように、十月に来たということで、まだ一月半といいますか、一月半といえば相当長い期間ですので、まだまだ勉強中と言うと、今まで何をやってたんだという話にもなるんですが、正直言って、私自身もこの十月に来まして、やはりこの京大というものの伝統、それから幅広さ、規模ですね、そうしたものを本当に改めて感じております。実は私は今、まずはいろんな学部の研究科長さんや事務の方に、いろいろお話を伺ったりする行脚的なことをやったりしているんですが、なかなかそれも、まだ全部局に行けていません。そういう中でできるだけ、やはり実際のそれぞれの部局現場というものをこれから十分に、さらに勉強していきたいと思っています。

2.文部科学省高等教育行政担当者の二つの顔
 皆さんご承知と思いますけれども、私は、三十年ほど前にこの大学を卒業しまして、そのあと文部省に入りました。その後多少県に出たり、あるいは外国に行ったりということはあるんですが、大半を本省の中で過ごしました。大学に出るのはこれが初めてですが、高等教育行政ということでは、ちょうど法人化直前の七年間ほど、高等教育行政の担当をさせていただきました。そのときの文部科学省の、私のような立場の者の仕事としては、二つの、ある意味での顔といいますか、面がありました。一つは大学の外におられる方々、とりわけ政治家の方々、あるいは産業界の方々に対するものです。こういった方々の大学、とくに国立大学を見る目というのは、皆さんいろいろ聞いていらっしゃるとは思うんですが、直接お話しすると、本当に厳しいものがあります。中には、「それはある程度もっともだな」と思われるものもあるんですが、事実誤認や誤解、あるいは教育研究に対する理解のなさに基づいているものもかなりあります。私もそうですけれども、学校というのは卒業してしまうと、その後その学校がどうなっているかということはあまり分からない。自分が卒業した、自分が学んだころの大学の姿というものをずっと頭の中に持っていて、「きっと今でもそういうことを、相変わらずやっているに違いない」という決め付けをしがちです。しかしご承知のように、大学改革がすでに二十年近く続いてきた結果、今の大学というのはかなり様変わりしています。そういった状況を知らない場合に、いろんな誤解が生まれます。また、「大学というのは全然競争がないんじゃないか」という意見があります。しかし、実際にはそんなことはない。いわゆる市場原理の競争はないけれども、学問的な、アカデミックな世界でのいろんな、むしろ厳しい競争があります。そういうことの十分な理解がないままに、「国立大学は全部民営化したらいい」とか、私学助成と国立大学を全部一緒にして「全部競争的な資金だけでいい」とか、そういう乱暴な議論が行われることもあります。そういう中で、文部科学省の高等教育行政担当者は「いや、現在では大学の現実はこんなふうになっている」、あるいは「教育研究についてはこういう特性を考えなければいけない」というように、いろいろ話をし、何とか理解を得る。そういうのを一つの顔としてやっているわけです。
 もう一つの顔は、今度は翻って、大学のほうに向かってのものです。今の社会の改革にはたいへんスピードが要求されています。そういう中で大学は、まだまだ改革にスピード感が感じられない部分や、あるいは改革に掛かりきれていない部分があります。そうした点について、改革をさらに促進すると同時に、改革の進捗状況をもっと分かりやすく国民に伝えていく努力をしていかなければいけないと訴えてまいりました。これはもちろん文部科学省自身の仕事でもありますが、文部科学省自身も、あまり上手でないということをよく言われています。そうしたことを反省しながら、大学自体でも国民への広報を進めるように大学の方々にも呼びかけるということをやってきたわけです。大学改革を進める中でも、大学の自治、学問の自由、これはやはり本当に大事なことです。ですが、ともすればかつてはそれが、いわゆる守りの自治だったんじゃないかと思います。やはり今の時代、もっと積極的に、ある意味では攻めの自治といいますか、「大学というのはこういうことをやってるんだ、こういうことに貢献してるんだ」ということを、もっと外に向かって打って出るような自治が必要なんじゃないかと言ってまいったわけです。今日、私は「労務担当」と紹介いただいたんですが、実は「総務、人事、広報担当の理事」ということで、広報というのも私の所掌に入っております。今後、やはり国民の理解と信頼なくして大学は存在しえないわけですので、そうした広報を十分に、皆さんのお力を頂きながら充実していきたいと思っております。
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